Leica M10 9ヶ月目のレビュー

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M10を入手したのは去年の12月

私は今年に入って3月からずっと海外で写真旅をしている

もう10ヶ国は周った

インドの砂漠からネパールの豪雨までかなり過酷な状況で酷使してきたのでそろそろレビュー第2弾を書こうと思う

外見

見慣れたデザイン

クロームによるつや消しブラックがカッコいい

使用によるスレなどは若干あるが、ブラックペイント程ではない

ハゲを楽しむカメラでは無い

M型デジタル機史上最薄のボディはよく手に馴染む

9ヶ月経った今でもその薄さに驚く

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↑上からM3、M10、バルナックⅢ、M6

フレームセレクターが復活したのは嬉しい

使った事ないけど

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マウントは若干盛り上がっている

ボディを薄くしようするとする執念を感じる

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ISO感度ダイヤはフィルム巻き上げノブを模したクラシカルなデザイン

Leica M10の私なりの使い方

・露光はどう取っているか

私は基本的に

ISO感度固定

SSオート

で撮影している

中央重点測光はレフ機に比べて若干癖はあるが、カメラを振って適切な露光を拾うスタイルが私の基本的なスタイル

その後、チラッと写真を再生して再撮影が必要なら親指の露出補正ダイヤルで適正露光へ持っていく

感度の選択は

屋外曇天なら400か800

屋内晴天なら100か200

の様にある程度自分なりの決まりはあるが、ISO感度オート設定は1/焦点距離も選択できるのでオートを信用してダイヤルはAに回すことが少なくない

レンズの選択

私に取っての標準レンズは35mmだ

なので常用レンズはZeissのC Biogon 35/2.8

控えめな明るさのお陰でコンパクト

しかしながら開放でも中央付近はシャープであり、割と現代的な写り

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M10には機動力を求めている

なのでズミルックスの様な大口径レンズは大きすぎる

スナップ撮影では基本、35mmを中心に50mm 28mmという超古風なスタイルを取っているが、広角は35mmで事足りる事が多いので35と50の2本で撮影に臨む場合が多い

アクセサリー

・ストラップ

純正ストラップにワックスを染み込ませて柔らかくした物を使っている

左右のアジャスタが付いていて6段階で調整可能だが、少し長い様な気がする

・カバー

M10と同時に純正のレザーカバーを購入した

背面が隠せるタイプの物だ

純正で背面が隠れるカバーが発売されているという事は、背面は操作しなくても撮影には影響が無いという事k

f値、ISO感度、SS、電源、シャッタは物理ボタンとして外部に露出しているのでモニタを含めた背面の操作系が無くても撮影出来るスタイルは潔くて好きだ

が、M10はマウントが飛び出たデザインを取っている

これは薄さの為の犠牲だろう

そこまで執拗に肉を削ぐ作業をしたのならカバーなんか付けずに裸で使った方が美しい

私はiPhoneも含めて裸族である

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・外付けEVF

撮影が夜間の場合やシビアなピント精度を要求される場合、外付けEVFのビゾフレックスを携帯している

M10にはライブビュー時のピーキング機能が搭載されており、拡大+ピーキングでピントを合わせる

f1.2クラスをレンジファインダーで1m付近のジャスピンなど不可能に近い

そこで外付EVFの出番だ

M型デジタル機でポートレートを撮る人、夜間スナップをする人なんかには便利なアイテムだと思う

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↑f1.1のレンズで無謀にもファインダーでピントを合わせようとした結果、後ピン

そしてEVFはチルト式で90度上を向く

ハッセルの500シリーズの様なスタイルでの撮影も可能になる

この撮影方法、被写体に気づかれにくく、スナップでは重宝する

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画質

・ISO感度

M240やM-E、M9を使った事があるが、それらに比べて遥かにISO感度性能が高い

これまでのM型デジタル機ではISO6400は使い物にならなかったが、M10では積極的に使っていこうとと思える

高感度はモノクロ専用のM Monochromeには若干劣るものの、ベイヤー機ではトップの性能を誇る

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↑ISO8000の作例 中国、鄂爾多斯にて

低感度もベースがISO100と日中、明るいレンズでもND無しで使える場面が増えた

その後のFWアップデートにより2.4.5で感度オートにおけるベースは200となったが、ISO100は選択できる

・画素数

2400万画素と申し分無い

もともとLeicaで風景を撮る人は少ないと思う

私的には1800万画素もあればトリミングを含めても十分なのだが時代の流行だろうか

・色再現性

M10はM9と発色が似ているがM240とは全く違う

上手い言葉が見つからないのでクセを誇張して書くと、

M240のイメージは赤の主張が強く、ハイライトには緑が少し乗る様な感覚、油絵の具で塗りたくった様な色でどちらかというとローキーにしたくなる様な絵作りだった

対してM10の画質は、AWBが正確で白いものは真っ白に写り、破綻しない限界を突き詰めたビビット

状況によってはハイライトには若干シアンが乗る

正確にいうとM10はM9とも色は異なる

M10はM9やM240にあった情緒的で変態的な画質が無いのだ

特にM240のしっとりとしていて糸を張り詰めた様な繊細な描写が無くなってしまった

そう、普通になってしまったのだ

逆に言えばSONYのα7などが比較対象に上がってくる

まあM10を他社カメラと比較して画質で選ぶ人は少ないと思うが

・画質総評

M10の画質は2400万画素フルサイズカメラの中でトップレベルの性能を誇る

ダイナミックレンジやコントラスト、ディティール、ノイズは文句無い

オールドレンズで撮影する時に、「こんな絵だったか?」と思わせてくれるほど綺麗な絵が出てくる

これまでLeicaはその独特な絵作りの世界観でファンを囲い、独走状態だった

M240を愛用している友人にM10を買わせようと目論み、何枚か試写させたがどうにも色が気に食わないらしい

M10は他のカメラ同様、RAWで撮ってレタッチで色を追い込んでいくというスタイルが正しい様に思える

普通のカメラになったというのは考え物だ

器用でオールマイティーな一台と評価できる反面、特徴が薄くなってしまった

それでもLeicaのM9で終わっていたナンバリングの後継機というのはどういった意図があるのだろうか

多分M10はこれから進化していくであろうMシリーズのスタンダードとなりうるカメラだと思う

価格

これについては未だに考え続けている

購入時はアクセサリーも含めて100万円をゆうに超えた

当時19歳だった私からするととんでもない金額だった

5万円の撮影案件を20件こなしてようやく買えるカメラだった

そもそも、そのカメラの価値は使う人が決めるものだ

いくつかケース別に書いてみる

「100万円のカメラを使っている」

という優越感に浸りたいのならM10の価格は十分に価値を発揮する

「画質を求めて買いました」

これは費用対効果が悪い、適当なミラーレスを買った方がコストパフォーマンスは高い

「Leicaレンズ資産があるので」

Mマウントレンズをいくつか所有しているならM10の価値は飛躍的に上がるだろう

そして私の場合

「かっけえ見た目してる」

「Leica欲しい!」

「レンジファインダー素敵」

が大半を占めていた

センサーの特性だとかレンズライナップは購入前に調べまくったし、M10のレビューをネットで漁る日々を送った

でも最後の決め手は新宿マップカメラでM10を持った時だったんだよね

別にLeicaに限った話じゃないが、手にした瞬間、カタログからは知り得ない情報がどんどん入ってくる

そして、気付いたら家でM10触ってニヤニヤしてるんだ

一種の魔法であり、病気だ

そんなわけで

実際のM10の価値は私が思うに

センサー代 20万

ブランド料 80万

ぐらいだとは思ってるがブランド料は充分に理解しているつもり

まだM10が100万円のカメラだとは自分の中で言い難いが、その片鱗はカメラ側かえあ稀に見せてくれる

作例

写真は全て軽くレタッチ済み

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↑弄りすぎてLeicaの良さが皆無な例

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まとめ

Leica M10は間違いなく長く付き合って行けるカメラだ

M型デジタル機の進化は遂にここまで来た

逆にこれからどう進化していくのか

M10-Pが出たら買うかも知れないが、そうでもない限りM10を手放す事は無いと思う

東南アジアの路地裏を35mm一本で切り取りながら歩く日々

M10のファインダーから見る景色はこのカメラの金額以上のものがきっとある

ファーストインプレッション

アクセサリー編

2020年2月16日追記

この記事を作成した当時は確か中国に滞在していて写真もあり物で済ませてしまったので「Leica M10 3年目レビュー」でも書こうと思う

あれからM10は外装研磨、レザー貼り替え、バッチ貼り替えなど様々なカスタムをした

オリジナリティ満載のカメラになってしまった

カメラ屋で店員に「八島さんですか?」って聞かれるほど

レンズもSummiluxやSummicronも揃った

この記事を書いていた当時では想像もつかない構成

Leica M10 3年目レビュー

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2019年に写真学校を卒業、都内撮影スタジオでの3年間勤務を経てフリーランスのディレクター兼カメラマンとして独立。2023年5月に合同会社AOKOM入社、現在は物撮りを中心にファッションポートレートから取材撮影、ムービー分野まで幅広く手掛ける。独身ガジェットオタク。

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