LML Star Deluxe 4s 125納車した話

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普段、筆者はVITPILEN401にのっている

ネオレトロなカフェレーサースタイルのバイクだ

その納車記事の冒頭ではロッカーズとモッズという1970年を代表するイギリスのカルチャーについて紹介した

今回はモッズたちが愛用したバイクを納車した話を書こうと思う

LMLとは

インドに拠点を構える会社で、Lohia Machinery Limitedの頭文字をとってLMLとなった

創業は1972年で当時は革製品や合成繊維などを手掛けていたが、1984年からイタリアのピアッジオ社と技術協力契約を結び、PX100Eという車両をライセンス生産することになる、その後もSelect、Vespa NV3、Supremo、Star、Sensation などの複数のモデルを製造販売していた
1990年代のインドは経済成長が著しく、LMLは年間32万台以上も生産を行うインドでも2番目のメーカーとなるが1999年にピアッジオ社との契約を終了、いくつかのモデルは名前を変えて販売を継続することになる
その後、ピアッジオ社はLMLを偽造と不正競争で訴えているが、イタリアで行われた裁判ではVespaブランドを使用しなければバイクの生産を続けても良いとの判決を下している

1998年に韓国のDaelim Motor Companyとの技術提携が締結されるが、これは市場で4stの人気が高まっていた背景があるとされている

2006年には経営状況の悪化や工場のストライキにより生産がストップ、2008年の工場再開後はPXのコピーであるSter Deluxeを輸出向けに製造していたが、ピアッジオ社のオリジナルPXが欧米諸国で好調な販売成績を記録しており、徐々にシェアを減らしていった

その後もLMLオリジナルの車両を販売していたようだが、インド国内でも売れ行きは低迷、2018年に債務超過となり、会社を解体している

2022年9月、インド国内でEVバイクを製造するメーカーとして復活するとの噂がある

すでにプロトタイプが完成している様で、Sterの銘を冠するとのこと

LML Star Automatic 125

さて、今回紹介する車両の原型となるSterは1999年に2st 150ccとして製造開始
アメリカ向けにはStella、ニュージーランド向けにはBelladonnaの名前で輸出されていた
2009年には4stエンジンの車両もリリースしており、2013年にはCVT搭載のモデルも登場した
それがSTAR Automatic

バリエーションは125と150が存在し、エンジンはLMLオリジナル、名前の通りATで4stエンジンなので扱いやすい

車体はベスパのラージボディをベースにしている

ATなのでハンドシフトやフットブレーキ等はキャンセルされている

オーバルルック

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基本的にはSTAR Deluxeと同じルックス

ってことはベスパのPXとも同じ見た目という事

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ATなのでフットブレーキが無かったり、ボディのスリットなど所々に違いが見受けられる

キャリアやサイドスタンド等はVespaのラージボディ用が装着可能

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ディーラーに在庫があったリアタイヤフラップとヘッドライトバイザー、サイドスタンドを装着した

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↑奥にいる車両は友人のヤマハのベルーガ80

右サイドのタイヤハウスにスペアタイヤっぽい何かが装着されているが、これはフェイクであり、プラスチックカバーとなる

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車重は乾燥で112kg

シート高は820mm

タンク容量は7ℓ

エンジン

見た目とは裏腹にこの車両はCVT

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124.5ccで9.15Nmを5000rpmで発生させる、2バルブの4ストローク、強制空冷単気筒エンジンである

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公表値で最高時速は80km/hで燃費は60km/ℓ

セルとキック併用

インジェクターはDell’Orto製

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随所に溶接等の不安があるがこんなものなのだろうか、それとも本家ベスパはもっと綺麗なのだろうか

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指定燃料はオクタン価87以上

・オクタン価とは

「ハイオク」の「オク」はオクタンを指す言葉で、ガソリンのアンチノック性(ノッキングのしにくさ)を表す数字

ノッキングとは圧縮の高い混合気が自然着火してしてしまう現象で、高圧縮の自然着火は強い衝撃波を発生させ、燃焼室の内側にある極薄の空気境界層を破壊し、シリンダ内側や、ピストンヘッドを直接加熱する状態となる、超高回転域でノッキングが15秒ほど続くとピストンヘッドを融解させるほどの高温となり非常に危険

ここ迄をまとめると、

オクタン価が高い=アンチノック性が高い=ノッキングを起こしにくい

となる

アンチノック性が極めて高いイソオクタン(C8H18)をオクタン価100、

アンチノック性が極めて低い直鎖ヘプタン(C7H16)をオクタン価0と定め、

この二つの化学物質の割合によりオクタン価を決定している

ちなみによく誤解されがちなのだが、オクタン価100以上のガソリンは存在しない訳ではない、代表的な物質にトルエンやキシレン、エタノール等があるが、これらはオクタン価100以上の性質を持っており、航空機燃料等はオクタン価100以上の燃料が使われている

日本ではJIS規格によって

オクタン価98以上を「ハイオク」

オクタン価91以上を「レギュラー」

またヨーロッパでは

オクタン価95を「レギュラー」

オクタン価98を「プレミアム」

オクタン価100を「スーパープラス」

と呼ぶ

日本ではガソリンは主に2種類で通称で呼び分けるが、海外では主に3種類でオクタン価によって呼び分けるのが一般的

オクタン価が高いほどエンジンの出力は上昇する傾向にあり、オクタン価を向上させる手法の一つとしてヨウ素材や鉛等を入れる方法がある、1920年ごろにヨウ素材をガソリンに混ぜるとオクタン価が上がる事が発見されたが、その後は入手性の高い四メチル鉛が用いられるようになった

また、鉛にはバルブを潤滑する効果もあり、有益な方法として活用されたが、これらの物質は人体にとって極めて有害であり、ガソリン自体をピンクに着色する事によって水との差別化を図った

(無鉛化された現在でもガソリンの着色は続いている)

その後1970年に東京で四メチル鉛中毒疑惑事件が発生し、既に規制された米国に続く形で1975年2月1日に国内でもガソリンの無鉛化が開始された

しかし、前述にもある鉛によるバルブの潤滑を前提とした1972年3月以前製造の有鉛仕様の車に無鉛ガソリンを入れると、バルブシートが異常摩耗する原因となり、自身で有鉛添加剤を無鉛ガソリンに混ぜるなどの対策が必要だった

また、当時の技術ではハイオクガソリンは鉛を入れないとオクタン価が上がらず、精製する事ができなかったが、無鉛ハイオクの開発が続き、1988年に量産、一般流通化に成功した事と引き換えに有鉛ガソリンの国内販売を完全に終了した

基本的に海外で製造される車両はオクタン価95前後に設定されている事が多いので日本国内のレギュラーガソリンでは性能不足、なのでハイオク仕様となる事が多い

さて、話が脱線しまくっているので話を戻すと、

LML STAR Automaticのオクタン価は87以上と指定されているので日本レギュラーガソも問題ない

キャリアもディーラーで装着してもらった

とりあえず汎用のレザーサイドバッグを付けてみた

使用しない際は畳める構造になっている

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本来はバイク側面に付けるバッグなので容量に不満はないが、見た目的に他のトランクの導入を検討したいところ

ディティール

本体正面のStarのロゴには小さくDLXの文字

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冷却用のスリット

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グリップはやや太め

何故かどこかで見た事あるような気がする

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フロントにはラゲッジスペースがある

シート下には収納が無いのでここがキャリアを除く唯一の収納スペースとなる

メインキーと同じ鍵穴が付いている

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サイドスタンドはオプション

ベスパPX用のものを付けている

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ヘッドライト上にはバイザーを取り付けた

これはベスパ用のもの

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フロントフォークは肩持ち

ホイールはアルミの合わせホイール

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フロントブレーキはディスクタイプ

200mmのディスクで制動力はそれなりに高いと思う

バリエーション

LML のStarには様々なバリエーションが存在する

STAR Deluxe 2s 125

STAR Deluxe 2s 150

STAR Deluxe 4s 125

STAR Deluxe 4s 150

STAR Deluxe 4s 200

STAR Automatic 125

STAR Automatic 150

4ストロークで4MTのDeluxe 4sは2009年末にユーロ3に対応する形でエンジンのリニューアルを行なっている

その際にフロントのダクトやメーターなども変更となっている

Automatic125は2013年に登場し、150は2014年に登場した

メーターや外装は4s後期のものと大体共通

どのモデルも会社倒産に従って2017年に生産を終了している

100kmほど乗ってみて

停車状態からの走り出しはやや重い印象

ローラウェイトの関係もあるだろうが、やはり車重を感じる部分がある

そのあと20km/hから一気に加速していく

そこから60km/hぐらいまではシームレスに伸びていく、最高速度はおそらく80km/hちょっとだと思う

一般道における交通に不便する事はまずないだろう、

常に他車をリードして走ることができる

シート高は820mm、イタリア人は足が長い

正直足付きは悪い、普段乗っているVitpilenが835mmなので問題はないが、スクーター界では随一の高さを誇る

ブレーキは思ってたよりよく効く

というかフロントブレーキがめちゃくちゃ効く、ベスパはフロントが効かないとよく聞くが、LMLに関して違う様だ

ハザードはプッシュキャンセルが付いていないので手動で戻す必要があり、慣れるまで時間がかかる

まとめ

筆者の自宅は駅から異様に離れた位置に存在し、車かVitpilenというバイクでの移動を余儀なくされていた

原2が欲しいなと思いつつも、没個性なバイクは嫌だしな…とか考えて年月が過ぎてしまった

付き合いのあるディーラーで本バイクの新車が眠っていたので無理を言って起こした貰った形だ

性能も平均以上のもので、価格もその希少性を考えると妥当、結果的に非常に満足している

ギャラリー

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2019年に写真学校を卒業、都内撮影スタジオでの3年間勤務を経てフリーランスのディレクター兼カメラマンとして独立。2023年5月に合同会社AOKOM入社、現在は物撮りを中心にファッションポートレートから取材撮影、ムービー分野まで幅広く手掛ける。独身ガジェットオタク。

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